プロジェクトの運営環境 何がプロジェクト運営に影響を及ぼすか、組織の環境要因とプロセス資産に切り分けて考える

プロジェクトマネジメント学習

組織の環境要因とプロセス資産

プロジェクトに影響を及ぼす要因はさまざまあるが、PMBOK®ガイドではこれを体系的に理解するために組織の環境要因(EEF; Enterprise Environmental Factor)と組織のプロセス資産(OPA;Organizational Process Asset)に分けて整理する。

組織の環境要因(EEF)は影響を与える組織内外問わずプロジェクト外の環境による要因のこと。また、組織、ポートフォリオ、プログラム、プロジェクトといった大きなレベルで影響を及ぼす要因のことをEEFと定義する。

組織のプロセス資産(OPA)は組織内部にある資産(アセット)のこと。ここでいう資産とは、組織自体や、組織内のポートフォリオ、プログラム、別のプロジェクトのことをいう。

プロジェクトに影響を及ぼすつながりを整理すると下図のとおりである。組織が去られている環境要因と組織内部の資産(既存のプロジェクト等の遂行手法等)によってプロジェクトは相互に影響を受ける。

プロジェクトに影響を与える組織の環境要因(EEF)と組織のプロセス資産(OPA)の関係

組織の環境要因とは?

組織の環境要因とは、プロジェクトチームによってコントロールができない、プロジェクトそのものに対して影響・制約を与える要因・状況のことである。こういった要因は組織の内と外の状況による。こういった、内的・外的要因はプロジェクトマネジメントプロセスの計画プロセスへのインプットとなる。環境要因は、求められる成果に対してプラスに働くこともあればマイナスに働くこともある。

組織内の環境要因(EEF)

組織内の環境要因は以下が代表的なものである。

  • 組織の文化、構造、およびガバナンス;ビジョン、ミッション、価値、新年、組織のスタイル、倫理、行動規範等。
  • 施設や資源の地理的分布;工場の場所、Virtual Team、共有システム、クラウドシステム
  • インフラストラクチャ;既存施設、機器、組織の通信チャンネル、情報化ハードウェア、それらのキャパシティ
  • 情報技術ソフトウェア;スケジューリングソフトウェア、その他自動化ソフトウェア、承認システム
  • 資源の可用性;契約及び購買の制約条件、承認されたプロバイダー、下請け業者、連携合意など
  • 従業員の能力;既存人材の有する知識、スキル、能力、特殊知識

組織外の環境要因 (EEF)

組織外の環境要因は以下が代表的である。

  • 市場の状況;競合他社、ブランド認知度、商標
  • 社会的、文化的影響と課題;政治情勢、行動規範、倫理、見識
  • 法的制約;セキュリティ、データ保護、商取引、雇用、調達、に関連する国や地域の法規制
  • 商用データベース;ベンチマークの結果、標準的なコスト見積もりデータ、業界のリスク情報、リスクデータベース
  • 学術研究;業界研究、出版物、およびベンチマーク結果
  • 国家標準・業界標準;プロダクト、生産、環境、品質、技量に関連した規制や基準
  • 財務上の考慮事項;為替、金利、インフレ率、関税、地理情報
  • 物理的な環境要因;労働条件、天候、その他制約

組織のプロセス資産

組織のプロセス資産(Organization Proess Asset;OPA)には母体組織によって使われる独自の計画、プロセス、方針、手順(手続き)、知識ベースなどがある。これらは社内資産と呼ばれる。このような既存の社内資産を無視してプロジェクトを立ち上げることはできないため、OPAはプロジェクトの運営に影響を及ぼす。

OPAはプロジェクトの実行・統制に使用できるすべての組織の既存の成果物や実務慣行、知識、過去ジョブの経験、過去ジョブのスケジュール、リスクデータ、Value Dataのことを言う。OPAがプロジェクトマネジメントプロセスをまわしていくためのインプットにもなる。OPAは次の二つに分けられる。

  • プロセス、方針及び手続
  • 組織の知識ベース

前者はプロジェクトマネジメントを通して更新されていくような類のものではなく、すでに社内で決まっているもの。プロジェクトに応じてテーラリング(適切にならして)して用いる。

後者は、プロジェクト情報としてプロジェクトを通して更新され続ける。例えば、財務実績、教訓、パフォーマンス指標、課題、欠陥等がある。

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