プロジェクトライフサイクル すべてのプロジェクトライフサイクルを簡潔に解説

プロジェクトライフサイクルとは

プロジェクトライフサイクルとはプロジェクトの開始から終了までの一連の流れのことを示す。開始から終了までを各フェーズに分割して呼び分けることで、管理しやすくする。

プロジェクトライフサイクルの概念図(PMBOK®1.2.4.1)

プロジェクトライフサイクルにおいて、どのようにプロジェクトを進めていくかの考え方にタイプがいくつかある。これを開発ライフサイクルと呼ぶ。開発ライフサイクルは大きく分けて以下のタイプがある。

  • 予測型ライフサイクル(ウォーターフォール型ライフサイクル)
  • 反復型ライフサイクル
  • 漸進型ライフサイクル
  • 適応型ライフサイクル(アジャイル型ライフサイクル)
  • ハイブリッド型ライフサイクル

予測型ライフサイクル(ウォーターフォール型ライフサイクル)

プロジェクト開始初期に、プロジェクトのスコープ、スケジュール、コストを見積る。遂行中にスコープやスケジュール、コストの変更が生じた場合は、変更の管理を厳格に行っていく必要がある(チェンジマネジメント)。

例としては、ゼネコンによる公共道路工事の一括請負(ランプサム;Lump Sum)受注がある。これは、プロジェクトの初期(入札段階)においてプロジェクトを通したスコープ(役務範囲)、コスト、スケジュールを見積もり、最も優れた見積もりであればその見積もり金額・スコープ・スケジュールにおいてプロジェクトが始まる。プロジェクトは当初の見積もり範囲内において進められ、スコープ外のことは行はない。もしくは、当初の見積もりからの変更として追加の工事を必要な金額・スケジュールの合意のもとに進められる)。

反復型ライフサイクル

プロジェクトのスコープ(役務範囲≒最終的なプロダクト)はプロジェクト開始初期に決定されるがスケジュールとコストはプロジェクトの進行に合わせて逐次調整していく手法。反復型ライフサイクルでは一連のサイクルの繰り返していったん製品は出来上がるが、2周目の開発では、1周目の開発で状況が見えてきた段階で、コストとスケジュールの過不足が適宜調整されている。

例としては、ソフトウェア開発がある。いったん出来上がった段階で初期バージョンをリリースするが、想定と違った機能を修正し、目的のプロダクトの最終仕様に近づけていくのは反復型ライフサイクルになる。一般的に、出来上がるものが図面等でほぼ決まり切っており、作り直しが実質不可能な建築物等には適用できない開発サイクルである。

漸進型ライフサイクル

プロジェクトライフサイクルを通して、徐々に製品の機能を追加していく手法

例としては、ソフトウェア開発がある。まずは機能限定版ソフトウェアを作り、徐々に追加機能を付加していき、最終的に当初の目標としていた機能をすべて含んだ製品を作る。これは、建築物等にでも適用できる。例えば、遊園地開発において、エリア Aまでを先行してリリース、その後エリアB, Cを順次リリースすることもできる。それぞれのエリアの工事だけを見ると、各エリアの工事プロジェクト単体は予測型のプロジェクトとして進行させることになるため、どういう視点でプロジェクトを見るかも大切になる。

適応型ライフサイクル

アジャイル型開発サイクル(変化駆動型ライフサイクル)と呼ばれ、反復型または漸進型のすべての要素を含むプロジェクト開発サイクルである。いったん開発・工程を進めてみて、不完全であるがある程度のプロダクトを作り出し、問題をあぶりだす。再度、プロダクトの完成度を高めるための反復開発工程に移る前に、見えてきた問題点や新たな視点から、詳細スコープが再度定義される。このように、とりあえずいったんやってみて、できたものを評価して開発内容を見直していく手法をアジャイル型もしくは変化駆動型ライフサイクルと呼ぶ。これも、ソフトウェア開発等でつかわれる手法である。

ウォーターフォール型開発とアジャイル型開発

ウォーターフォール型の対がアジャイル型開発だと思って基本的に問題ない。反復型、漸進型開発の持ち合わせている、いったん開発を進めていき、開発の過程でプロジェクトの進め方を調整していく手法がアジャイル型開発。アジャイル=素早く、迅速に、という意味がある。

ハイブリット型ライフサイクル

予測型(ウォーターフォール型)と適応型(アジャイル型)の組み合わせの開発ライフサイクルのこと。プロジェクトの中で過去に実績があり良く把握されているところは予測型ライフサイクル、未知の要素が多い部分は適応開発型(アジャイル型)ライフサイクルを適用する手法。これは、新たな試みのプロジェクトを進めていく際に、発注者側と受注者側双方にメリットがある。すべてを適法型開発(アジャイル型)でやるとプロジェクトの計画者(発注者)は初期の段階でコストやスケジュールの見通しが立て辛い。一部にでも予測型を適用することで、このような見通しを初期に立てやすくなる。受注者側の視点においても、未知の要素が多いプロジェクトをすべて予測型で見積もり遂行すると計画よりも大幅なコストやスケジュールの超過が発生するリスクがある。そういった点を緩和することができるため、プロジェクト遂行の契約手法としてハイブリッド型ライフサイクルに準じた契約形態が考慮されることがある。

プロジェクトライフサイクルとプロセス

最適なプロジェクトライフスタイルを決めるのはプロジェクトマネジメントチームの重要な使命となる。一歩間違えると非効率、大損失、大幅遅延や係争のもととなる。プロジェクトライフサイクルを決める際には、各プロジェクトフェーズで適切に様々な要因に対処できるかを基準に考えていく。適切にプロジェクトフェーズにおける対処ができるかどうかを判断するためには、各プロジェクトフェーズっで実行される”プロセス”に関する考察が必要になってくる。

なお、プロジェクトライフサイクルとプロダクトライフサイクルは別物でるため注意が必要である。

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