回転機ポンプやコンプレッサーの芯出し(センターリング・アラインメント)の基本

重量物輸送技術

回転機とは

製油所や化学プラントには必ず回転機が存在します。回転機とは、ポンプやコンプレッサー(圧縮機)といったいわゆる”回転”する機器の名称です。水やガス、液体など様々な物質を圧送する機能を持ちます。いわゆる田舎の井戸ポンプも回転機です。

芯出しとは

例えばポンプを例にとります。ポンプはポンプ側とモーター側で構成されており、モーターの回転をポンプ側に伝えることで流体を運びます。モーターとポンプを連結していく作業を芯出しと呼びます。心出しはセンターリングやアラインメントともよばれます。この芯出し作業の精度は1/100mmレベルで要求されるため、熟練工による作業になっていきます。

芯出し方法を解説

今回はミクロンチャンネルさんの非常にわかりやすいセンターリング手順動画を見つけましたので、これを見ていきます。

【機械据え付け】ポンプ等のセンターリングのやり方解説♪[Machine installation] Explanation of how to center pumps, etc.

まずはポンプ側のボルトが確実に締まっており、配管がつながっていることを確認します。配管が乗るとポンプが動くので先に完全に締めておきます。

次にベースプレートとライナーの清掃をしておきます。基本的にはモーター側を調整して芯出しをしていくので、モーター側のライナーとベースプレートをきれいにします。これを怠るとボルトを締めている際に錆のせいでがたつきが出てしまうことがあります。ミクロンさんは400番の砥石を使われてます。

既存のライナーを再利用するのが原則ですが、あまりに錆びていた場合は新しいライナーに取り換えたり、ベースプレート自体を削って水平度を出しなおすこともあります。

油をかけて滑りをよくすると作業効率が上がるようです。初めて知りました。

ベースプレートモーター側とベース側を磨き終わったら、ライナーとモーターを復旧します。ライナーは同じ場所に復旧するのが鉄則です。最初の据え付けでライナー厚みが合わせられているので、同じ個所に戻せばあらあらで高さが合ってくるという目論見です。

ついに芯出し本作業です。まずはカップリングボルトを1本だけ手締めで軽くはめます。その後、テーパーゲージをカップリングハブの側面にあててモーターをつつき、横の位置を微調整します。この時、モーター側にはボルトをはめておくものの、緩めに止めておくだけにします。ミクロンさんはハブの間にワッシャーを2枚対角に挟んであらあらの面間距離を出しています。カップリングボルトのワッシャーの厚みが、大体ハブ間の必要面間距離の目安になるとのこと。経験のなせる業です。

テーパーゲージでハブ側面があたら、モーター側のボルトを締めていきます。締めていく際は一気にしゃくって締めると勢いでモーターがずれるので、優しく締めるのがポイントとのこと。

次にダイヤルゲージを設置します。磁石なのでモーター側のハブにくっつけた後、ポンプ側にゲージの針を当てます。最初にハブの開きを確認します。ハブが開いていた場合はモーター側のライナー数調整が必要になってきます。

くるっと180°まわした前後のダイヤルの差分を見てずれを計測します。そのずれからモーターの傾きを判断し、必要なライナーを追加します。ダイヤルゲージの見方は以下のサイトが参考になりそう。

軸芯出し(シャフトアライメント)の表し方
芯出し状態の定量化 軸芯出し(シャフトアライメント)では、位置を測定しずれを修正するために、芯出しの状態を定量化し、表現する方法が必要です。 国内では、ダイヤル...

計測の結果モーターのお尻側が下がっていることが分かったので、適切なライナーを差し込みます。薄いライナーだとこのように手で切って作ります。

ライナーを足しこむ際は片側2本のボルトのみをゆるめて、バール等を差し込んでてこのように持ち上げ、ライナーを差し込みます。ライナーがさせる程度に”上がればよい”ので、方法はなんでもよい。ここも職人の経験で適切に作業されてます。

再計測して要求の値以内に収まっていれば、OKです。次にハブの高さ方向のずれを測ります。同じようにダイヤルを0°と180°で計測し、差分を見ます。

計測の結果、0.3mmライナーを抜く必要がありました。ライナーを抜く際も同様で、片側ずつやっていきます。まずは一方の片足のライナーを全部抜きます。その中で必要な厚みのライナーをマイクロメーターで測って探し出し、それだけ抜いて残りを復旧します。これをすべての足に対して繰り返します。

高さが合ったら、念のため面間の計測ももう一度行い、面間のずれも出ていないかも確認しておきます。

次に90°と270°方向(横方向)で面間の開きと周方向の横ずれを同じように見ていきます。

横方向にモーターをずらす必要が出てきた場合は、いったんすべてのボルトを緩めます。その後、ずらしたい方向にプラスチックハンマーでモーターの真ん中をたたいていきます。一人がたたき、もう一人がゲージを見てたたきすぎないように確認します。これもまさに職人技。経験です。

最後にすべてモーター側を増し締めし、芯出しが終了になります。

まとめ

これくらいの小型のポンプだと、本当に作業がスムーズに終わってますね。相当の腕前と見ます。回転機の芯出しは回転機の寿命に大きくかかわりますので、このような技術を持った職人は本当に尊敬されます。非常に良い動画でチャンネル登録しました。ミクロンさんのほかの動画もちょっと勉強に使わせてもらいたいと思います。

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