円建てと外貨建ての違い
円建て
日本円で投資商品を購入し、運用・配当等も日本円で行うもの。
日本人の基軸通貨である日本円での投資のため、為替も関係ないので余計なことは何も考える必要がない。通常の入出金はすべて日常の銀行や証券会社の手数料で完結できる。
外貨建て
日本円以外(米ドル等)の外貨で投資商品を購入し、 運用・配当等も外貨で行うもの。
日本で外貨建ての資産を購入する際・換金する際は為替変動を考慮しておく必要がある。円安の時に外貨建ての金融商品を買って、円高の時に日本円に換金した場合は為替による損が出る場合がある。外貨建て金融商品購入のために入金・出金する場合は外貨から日本円にするための手数料が生じる場合がある。
なぜ外貨建て商品があるのか?
ここまで読むと外貨建てにはメリットがないように感じるかもしれませんが、外貨建て金融商品にはメリットがあります。
外貨のほうが利回りが高い
各国の例えば10年債(アルゼンチンは7年債のデータ)の利回りを比較すると以下のイメージです。
国 | 10年債利回り |
日本 | 0.06% |
アメリカ | 1.47% |
中国 | 2.87% |
アルゼンチン | 49.39% |
債券の購入だけをとっても、例えば米ドル建てでアメリカの債権を買っただけで日本の国債を買うよりも20倍以上の利回りを期待できます。アルゼンチンに至ってはとんでもない数字です。
利回りが高いには理由がある
利回りが高いからと言って外貨建て商品をやみくもに買ってはいけません。
例えばアルゼンチンは2001年にデフォルト(債務不履行)を起こしています。デフォルトすると国は債券を購入してくれた人にお金を返すことができなくなり、あなたが買った債券がただの紙切れになってしまいます。利回りが高い外貨にはそれなりのリスクがあると考えておいた方がよいでしょう。
また、デフォルトしなかったにしても、財務基盤が不安定な国は政府がお金を刷ってなんとか国の経済を回そうとします。そうするとお金だけがただ市場に出回り、その国の通貨の価値が世界の通貨と比較してどんどん下がっていきます。昨日100ペソで買えていたものが200ペソ必要になります。これがインフレです。
投資先の通貨がインフレしたらどうなる?
アルゼンチンを例にとります。
例えば、日本円100円で100ペソに換金したとします。その後アルゼンチン経済がインフレした場合、お金があふれかえってその国の通貨の価値が下がってしまうので、日本円100円で200ペソに換金できるようになります。
これは裏を返せば、100円取り返すのに200ペソ必要になるということです。投資先が通貨安になると投資利益の回収が難しくなります。
それでも外貨建て投資をする理由
例えば米ドルの場合、アメリカの経済は比較的安定しており、米ドルの世界の基軸通貨としての価値は世界がひっくり返らない限り今後揺らぐことはないと考えられます。このようにリスクを許容すれば米ドルでの投資のほうがパフォーマンスが高まります。この辺りが最近米ドルによる米国株投資が話題になっている理由です。
また、日本の経済が今後悪化した場合日本円の価値が下がっていくことも考えられます。そうなった場合日本円だけの資産だとジリ貧になってしまいます。リスクヘッジの意味合いを込めて米ドル資産を持つことは戦略としてありかと思います。
外貨建て投資の注意点
有名な外貨建ての商品としてはプルデンシャルやメットライフ、ソニー生命が取り扱う外貨建ての生命保険があります。これらはあくまで保険商品です。金融商品ではないため個人で外貨建て投資をするのと比べるとリターンは減ります。それは長期契約した後の利回りを保証する代わりに保険会社が手数料を多めにとっているからです。リスクもなく儲かるという話はこの界隈ではありません。必ずリスクとリターンはトレードオフです。
これらの保険商品を購入するのに向いている人はあえて定めるなら以下でしょう。
- 銀行に預けるのは損だとわかっているが、余計なことを考えて運用したくない。
- 預金の代わりだから、契約期間中は絶対に途中解約・引き出しはしないと決めている。
こういう方には向いています。また、これは副次的産物ですが一応保険なので会社員の場合は控除が適用され税金が少し減ります。これらの保険商品は為替を無視すれば銀行預金しているよりかは絶対にプラス運用益になるのは間違いありません。リスクをある程度保険会社がとる代わりにリターンが制限されている類の商品です。
外貨建て商品の出口戦略
各保険会社で外貨建て保険を契約した場合は、満期までやり切るのは絶対条件です。
満期まで言った場合、こういった商品の積立金は外貨のまま受け取ることもできるものがあります。せっかく外貨建てで資産を形成しているのであれば、外貨のまま受け取れる商品を必ず選択しましょう。日本円でしか受け取れないものにすると外貨で積み立てるメリットが半減します。
外貨建ての株式や債券の場合は為替の様子を見ながら日本円に戻す・もしくは別の外貨建て商品に再投資する、という戦略が取れますのでこの辺りは個人の裁量を利かせることができます。
まとめ
- 外貨建てで投資する場合は通貨リスクを考慮する(米ドルにしておけば基本的にはOK)
- 外貨建てにするなら外貨建てのまま利益を受け取れる商品を選択する。
- 保険商品の場合は満期まで必ず契約する
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