AIRSLED社のエアキャスター 空気の力で重量物を簡単に移動

重量物輸送技術

エアキャスター(Air Caster)とは

一般的に使われる荷物輸送用の台車はドーリー(Dolly)とよばれ、荷台の下にキャスターをつけて荷物を移動させます。引っ越し等でよくみるあの平台車です。

エアキャスター(Air Caster)とは

一方エアキャスターとは、通常の車輪型キャスターの代わりに空気を床面に向けて噴射して浮遊し、移動する装置になります。エアドーリー(Air Dolly)とも呼ばれます。

エアキャスタ=の原理はゲームセンターにあるエアホッケーと同じです。空気が噴射され、荷物が若干床から離れて浮遊した状態になるため、極めて小さい力で物体を移動させることができます。

今回はAIRSLED社のエアキャスターを見ていきたいと思います。AIRSLED社のエアキャスターは1400LB=650kgくらいまでのものを輸送できるようになっています。

Moving a slightly elevated vending machine with an Airsled

AIRSLED社はアメリカのNewarkにある会社です。家電や小型・中型の物品搬入出用のエアドーリー関連輸送用機材を販売している会社です。欧米では重量物の取り扱いによる労働災害に対する認識が進んでおり、日本も含め東南アジア諸国や発展途上国だと数人で頑張ってやってしまうような重量物の移動でも、このような機材を用いて少人数かつ安全に移動させるようなツールが数多くあります。

今回紹介するのはAIRSLED社の自動販売機移動用エアキャスターです。

まずは、このようなエアーを噴出するエアキャスターを自動販売機の下に敷設します。ペラペラで簡単に人力で運べます。手前にある黒っぽいキャップのところからエアを注入すると、床面に向けて空気が噴き出し、エアキャスターが浮上する仕組みです。

自動販売機とエアキャスターとの隙間が大きいのでスペーサーとして板を何枚か重ねて高さを合わせていきます。エアキャスターが浮遊する高さはそこまで大きくないため、あまりにも自動販売機との隙間が大きいと自動販売機の底面までエアキャスターが届かず、自動販売機を持ち上げることができません。

スペーサーの設置が終わったら自動販売機の下にエアキャスターを押し込み、エアコンプレッサーを接続します。繋ぎこみはただ差し込むだけです。

エアコンプレッサーは小型で肩掛けできる程度のサイズです。エアコンプレッサーを稼働する前には手で自動販売機を軽く支えておきます。

エアコンプレッサーのスイッチを入れるとエアキャスターが膨らみ、空気が噴射され、その勢いで自動販売機ごと持ち上がります。エアーで浮いているため、やはりふわふわと輸送する物体が揺れてしまうため、手で支えておくのが重要です。あまりに重心が高いものを運ぶ場合は何人かで支えてもらった方が安全でしょう。

軽く押してあげるだけでスムーズに移動できます。

エアキャスターのメリットと注意点

AIRSLED社のエアキャスター、とても便利そうです。お値段は大体1000ドル(10万円くらい)ですね。お手頃価格で、物流屋さんであれば、これくらいの値段であれば手が届きやすいかと思います。これを使えば4人で行っていた作業を1人で行うことができるため、人件費を抑えることもできるでしょう。

エアキャスターで注意しないといけないのは、エアーを床面に噴射して移動する構造から、床面が平らでかつ穴などがないという環境でなければ使用ができません。グレーチング床や平滑度の荒いアスファルト床だとエアーがうまく床面に噴射されず、輸送ができません。このような場合には養生板を敷き、テープで固定する等して床面を平らにして使用するなどのひと工夫が必要になります。また、エアー噴射で移動しているため、ブレーキがありません。床が傾いているとそのまま滑っていくため、床の傾きも事前に注意しておく必要があります。

まとめ

エアキャスターのようないわゆるマテハンツールは近年需要が高まってきています。ひとつは安全面の理由です。重量物の無理な移動は足腰への負担が大きく、労働災害としても問題になっています。こういったツールを導入すれば作業員の負担を軽減し、安全に作業ができるようになります。

もう一つの注目点は作業効率化です。人件費が安い東南アジア諸国であれば何人もの作業員で移動されればいいですが、欧米諸国は作業員の人件費も日本の2倍以上である場合があります。こういったツールで作業員を効率化できればそれだけ企業の利益にもつながります。

このような最新の技術動向に目を向け、いかに利益を生み出していくかアンテナを張り巡らせておくこともプロジェクトマネジメントの視点として重要ではないかと思います。

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