プロジェクトビジネスケースとはプロジェクトマネジメント認可のための文書
プロジェクトビジネスケース(Project Business Case)とは潜在的なプロジェクト=プロジェクトの芽がありそうなものに対し、経済的な観点で本当に利益が出るかを評価し、プロジェクトを起こせるかどうかを判断するための文書である。通常この文書を用いて、プロジェクトを開始を認可する。プロジェクトビジネスケースには、プロジェクト立ち上げの目標と理由が記載されている。プロジェクト終了時には、ビジネスケースで定義した目標を達成できたかどうかを確認することで、プロジェクト成否を評価することができる。また、ビジネスケースに規定された目標の達成が困難になった場合等は、プロジェクトの中止の判断を下す際の文書としても使用される。
ビジネスニーズの評価
ビジネスニーズ(Business Needs)評価とは、簡単に言うと社会で必要とされていることを調査することである。ビジネスニーズの調査は、ビジネスケースの作成に先立って行われることが多い。なぜなら、ニーズがないものに対してプロジェクトを起こす(ビジネスケースを作成する)ことは基本的にないためである。ビジネスニーズの評価とは、ビジネスの目的、目標、課題、好機(チャンス・可能性)を調査することである。ビジネスニーズのビジネスケース作成に役立てられる。
ビジネスケースに含まれる項目
まとめると、ビジネスケースには以下が含まれる
ビジネスニーズ
ビジネスニーズの項目には一般的に以下の内容が含まれる。
- 何がこの行動を促しているのか(どういう状況でこれをやろうと思ったのか)
- 組織にどんな価値を生み出すのか、どういうビジネスの問題やチャンスにかかわっているのか
- ステークホルダーにどういう影響があるのか
- スコープは何か
状況分析
プロジェクトを遂行するにあたり、ビジネスニーズに対して組織がどのような状況の置かれているかという河面目も記載される。一般的に以下の用を含む。
- 組織の戦略、目的、目標の特定
- 問題の根本原因特定、なぜ好機なのかの要因の特定
- プロジェクト遂行に必要な組織の現状の能力と、必要な能力のギャップ分析
- リスク特定
- 成功のための重要な要因の特定
- 様々な行動・状況を評価する判断基準の特定
- こういった状況を各項目別に評価し、組織が置かれている状況を評価していく。一般的に、状況分析に使用される基準カテゴリーは以下の例がある。
- 必須 満たすことが必須の基準
- 望ましい 満たすことが望ましい基準
- 任意 満たせると差別化につながるもの
- ビジネス上の問題や好機に対してはどう行動するかの選択肢の特定
- ビジネスケース上では以下の3つの選択肢がある。
- 何もしない=現状維持。プロジェクトは不認可。
- 問題や好機に対応する最小限の作業をする=文書化された基準を特定して最小限の作業を行う。
- 問題や好機に対応する最小限の作業以上のことをする=基準で必須と判断された物以上のことをする。
推奨(Reccomendation)
プロジェクト遂行における推奨される行動の選択肢を述べること。
推奨としてビジネスケースに表現されるものの一例として以下がある。
- Potential Option(潜在的選択肢)の分析結果
- Potential Optionの制約条件、前提条件、リスク、依存関係
- 成功の指標
- マイルストーン
- 依存関係
- 役割と責任
評価
プロジェクトにおいて、何をもって利益が生み出されるかの評価手法・計画が記述される。
まとめ
ビジネスケース文書はプロジェクトライフサイクル全体を通して得られた結果を、プロジェクト当初の目標・成功基準と比較して進捗や成功の度合いを評価測定するたっめのベースとなるものである。ビジネスケース作成のためには、ニーズ評価から始まり、組織の状況分析、推奨される選択肢を記述し、最終的な利益の評価方法を規定していく必要がある。
ビジネスケースを作成するための、ビジネスニーズの定義→状況分析→推奨→評価のプロセスはどんな組織のプロジェクトにでも適用できる。
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