プロジェクトマネジメントによって成功したか否かを判断するには伝統的にタイム、コスト、スケジュール、品質という観点におけるプロジェクトマネジメント評価尺度の要素だった。最近では、これらに加えてプロジェクト目標を達成できたかどうかも評価尺度とすべき項目であると考えられてきている。
何をもってプロジェクトが成功したといえるのか
プロジェクトというのは利害関係者であるステークホルダーのために行うものである。従い、プロジェクトが成功したといえるためにはどういう点が重要かについては、ステークホルダーの意見が重要になる。ステークホルダーの意見は人それぞれのため、事前にプロジェクト目標を明確にし、その達成がプロジェクトの成功であるという点をステークホルダーと共有しておくことが大切になる。プロジェクトマネージャーはステークホルダーとプロジェクト成功の指標について、以下の点で共通の認識を持てるようにコミュニケーションをとっていく必要がある。
- どうなればこのプロジェクトは成功なのか
- どのように成功を評価・計測するのか
- どのような要因が成功に影響するのか
こういったプロジェクト成功の定義であるプロジェクト目標に関しては、文書でステークホルダーとプロジェクトマネージャーの間で明確に合意しておく必要がある。文書化しておくことで、後々ステークホルダーとプロジェクトがうまくいったかどうか、意見が分かれ、問題になることがある。
プロジェクト目標
プロジェクト成功の指標となるプロジェクト目標として挙げられるのは、以下のような点が一般的である。
- プロジェクトベネフィットマネジメント計画書通りの利益を生み出す。
- ビジネスケースに文書化されている一定の財務指標を満たす。財務指標としては以下を含む。
- 正味現在価値(NPV)
- 投資収益率(ROI)
- 内部収益率(IRR)
- 回収期間(PBP)
- 便益費用比率(BCR)
- ビジネスケースの日財務指標を満たす。
- 現在の状態から望ましい組織の状態移行を完了する。
- 契約条件を満たす。
- 組織戦略、目的、目標を満たす。
- ステークホルダーが満足する。
- 顧客・エンドユーザーに受け入れられ、採用される。
- 組織の作業環境へ新たな成果物を統合する。
- 合意した品質を達成する。
- ガバナンス基準を満たす。
- その他同意した成功指標・基準を達成する(例:工場の必要な生産量の達成など)
このように何が成功の定義なのかを明確にしておくことで、ステークホルダーを含め、プロジェクト全体の向かっていく方向が明確になり、プロジェクトの遂行がよりやりやすくなる。プロジェクトを遂行プロジェクトチームはプロジェクト成功のためにプロジェクト状況の判断、各種要求の調整、ステークホルダーとの活発なコミュニケーションを維持し、プロジェクトの成功に向かってプロジェクトをリードしていかなければならない。
成功しやすいプロジェクトとは
プロジェクトが組織の戦略的な方法性(ビジネス)と整合しているとき、プロジェクトは成功しやすい。これは、まさに上記の成功の指標でも述べたが、組織全体として成功の方向が一致していれば問題解決がよりスムーズに行えるため、プロジェクトの成功により近づくのである。
一方、プロジェクトとしてスコープ、スケジュール、予算の観点すべて予定通りに遂行完了し、成功したプロジェクトとなったとしても、ビジネスとしては失敗になることもある。例えば、これはプロジェクト完了前にビジネスニーズや市場環境が変化した場合に起こりえる。プロジェクトの遂行中にマーケット環境や需要が変化し、出来上がった製品やサービスが思ったよりも使い物にならないことがある。従い、プロジェクト自体を立ち上げる際は、マーケット環境やプロジェクトの遂行スケジュールをよく吟味しておかなければならない。
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